首相は所得倍増を実現するか

今朝の産経新聞に寄稿した原丈人氏の題名です。

原丈人氏は第一次安倍、福田、麻生政権で財務省参与として税率を上げずに税収を増やす政策を提言し、第二次安倍政権発足後の2013年からは内閣府参与として意見を述べ続けてきた。と本人が書いてある。

しかし、原丈人の提言は活かされて来なかった。

私は、岸田内閣のいう「新しい資本主義」とは原丈人氏の「公益資本主義」だと説明し続けてきました。

この寄稿文の中で3点をお知らせします。

まず、前提として

日本人の平均給与は過去30年間上がっていない

財務省法人企業統計によると、約280万社の平均給与は、1990年から2020年まで30年で年間約380万円とずっと変わっていない。その間に、教育、医療、住居費は上がったので、実質賃金は大きく下がり国民は貧しくなった。

その一方、小泉政権の時に始まった構造改革を進めた結果、会社の株主への還元は急速に増え、この20年間で上場会社の株主総還元額は10倍以上に増えた。」と書かれております。情けないが、これが現実です。

株主偏重の分配を是正する方法

「岸田首相は株の売買益などに課税する金融所得課税の増税を掲げた。・・・

例えば、2019年の上場自動車会社9社の平均配当額は1株91円だったが、私が会長を務めるアライアンス・フォーラム財団公益資本主義研究部門の計算結果では、このうち僅か15円を再分配するだけで、従業員平均給与は2倍に、役員報酬も5割増え、未来への投資額も増やせる。全社員の報酬が増えるので国の所得税収も増え、給与が増えれば会社の士気も上がり業績も株価も上がる。社員、会社、国、株主の四方良しとなる。反発を受けやすい金融所得課税の増税をしなくても所得倍増は可能だ。」

政府の財政支出について

「全国各地にやるべき仕事を作ること。まず、国民生活を守るためにすぐに必要な防災インフラと医療インフラ、劣化した堤防、トンネル、橋梁、鉄道交通インフラ整備などに大規模な政府支出をする。公的固定資産形成の充実である。毎年10兆円として最初の5年で50兆円は必要だろう。

 財源は新たな国債発行でよい。具体的には30年満期の個人向け公益国債とし、金利はつけないが、額面金額を相続税免除とする。免除が必要ない購入者には、変動金利をつけ政策金利とともに変動させる。

日本の個人金融資産は2千兆円あり、個人向け公益国債は国民を豊かにする国債として人気の投資対象となるだろう。政府の借金は増えるが、購入した国民にとっては資産となるため、将来の負担にはならない。」

我々「責任ある積極財政を推進する議員連盟」も同様な主張をしております。