第二次補正予算案閣議決定、真水32兆円

昨日、事業費規模で117兆円の第2次補正予算案が閣議決定されて発表になった。

真水32兆円、うち予備費10兆円の規模だ。真水とは純粋の財政出動、純粋=純水=真水との意味だという。

我々議員連盟「日本の未来を考える勉強会」では、真水100兆円規模の補正予算の提言をしていた。

官邸周辺からは、真水32兆円に加えて、50兆円以上の財投債は全て日銀が引き受ける。そのことをしっかりと国民に伝えてほしいとの話があった。

我々の提言に配慮した予算編成をしたという事であろうと推測する。

我々は第1次補正予算案検討の最中から、漏れ伝わってくる予算規模を聞き、これでは足りないからすぐに第2次補正予算にかかるべきだと主張し準備していた。しかし当時は官邸周辺からは全く反応がなかったので、この第2次補正予算案が閣議決定しただけでも前進だ。

昨夜のNHKニュースを見ていると、ある財務省幹部が「財政規律のタガが外れてしまった」と嘆いた、との報道があった。

財務省幹部の考え方が正しいとすると、多くの海外投資家に支えられている日本の株式市場は暴落し、円も売られて大幅な円安になるであろう、しかし今のところそんな動きは全くない、我々の予想通りだ。

それよりも、第1次、第2次の補正予算(案)で成立、閣議決定した、1人一律10万円の給付金、事業者への持続化給付金、地方創生のための臨時交付金など、日本経済立て直しのための予算を、早く国民に届ける作業を進めなければならない、それに全力を尽くします。

 

自民党政調全体会議出席

26日(火)午前8時30分から、第二次補正予算に関する自民党政務調査会の全体会議が開催されて出席した。

今回も党本部は使わずに衆議院議員会館地下1階の大会議室で、西日本ブロックを中心にして、席を開けて開催した。

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私は高知県から要望のあった臨時交付金の要望など、以下の3点を発言した。

「1、地方公共団体に対する臨時給付金が足りない。知事会からも要望が出ているが大幅に増額すべきだ。

高知県では、3月26日から県単独で限度額1億円の融資制度を実施した。リーマンショックの時を参考にして360件程度の申し込みを想定していた。この時には5ヶ月間で360件の申し込みがあったが、今回は1ヶ月間で830件の申し込みがあった。リーマンショック時の2.5倍だ。

この県単独の制度は一端打ち切り、国の制度を取り入れた。

また、県の負担は保証協会に支払う保証金と利子だが(約120億円)、最長で11年間保証料を支払う。

持続化給付金は単年度しか使えないので、今後は新しい制度で県負担分を補填してもらいたい。

内閣府に聞くと、他県からも同様な要請が来ているので、知事会から要請があるかもしれません。

中谷元先生から先に基金の提案があった。】

2、持続化給付金も足りないので大幅増額が必要です。

 岡三証券の試算では、2018年の中小企業の税引き前利益は約21.3兆円、今回の消費税値上げに次ぐコロナショックの2重の危機で、3割減収だと仮定すると、25.2兆円の赤字となる。合わせて46.5兆円です。これだけ補助しても元へ戻るだけでしょう。現在の額では足りません。

問題は支払いが遅い。中小企業庁に問い合わせたら、約40%が支払い済みと聞いた。申請書類に不備があるので遅れているようだ。

Eタックスを使えば申請に必要なデータは全部揃っているはずですので、Eタックスを使えるよう検討をお願いする。

3、是非、50兆円の予備費を積むことを要望します。」

今回も多くの議員から発言があった。

執行部からの提案書には具体的な予算が入っておらず、ベテラン議員から批判があった。

私は外交防衛委員会出席の為9時40分に退室した。

この後、東日本ブロックを中心の会が開かれ、12時半過ぎに終わったようだ。

内閣も自民党も支持率急落

昨年末から、大臣の不祥事、自民党国会議員の不祥事が続き、私は地元高知での年末の会合や今年1月の地元での国政報告会において、「自民党はこんな国民をなめたような事をやっていると、手痛いしっぺ返しをくらう」と発言してきた。

先週の23日に発表された毎日新聞世論調査結果は、内閣支持率27%(前月比一13)、自民党支持率25%(同ー5%)、今日発表の朝日新聞世論調査結果は、内閣支持率29%(前月比一12%)、自民党支持率26(ー7%)である。

先ほど、黒川検事が賭け麻雀をやっていた事に対する「訓告」という軽い処分は、法務省の「懲戒」相当との判断を取り上げないで官邸が決めたとの、共同通信のニュースが流れた。

国民が怒っている事がわからないのだろうか。

党内で発言していきます。

中野剛志「日本経済学新論」を読んで

中野剛志先生から送っていただいた「日本経済学新論」渋沢栄一から下村治まで)という副題がついている。

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明治維新から現代までの、貨幣政策と財政政策を解説した本で、相当難解な本でまだ完読していない。その中で印象に残った記述を紹介します。

明治時代に、金井延の「社会政策学会趣意書」にはこう書かれている。

「余輩は放任主義に反対す、何となれば極端なる利己心の発動と制限なき自由競争とは貧富の懸隔を甚だしくすればなり、余輩はまた社会主義に反対す、何となれば現在の経済組織を破壊し資本家の絶滅をかるは国運の進歩に害あればなり、余輩の主義とするところは現在の私有的経済組織を維持し、その範囲内において個人の活動と国家の権力とに依りて階級の軋轢を防ぎ、社会の調和を期するにあり、」

新自由主義の欠点を批判している。

渋沢栄一は「論語と算盤」が有名で、ずいぶん前に読んだ。このブログで紹介もした。経済人の道徳を説いた本で、感動した。

「渋沢は、資本主義の発展に伴う弊害として、貧富の格差とともに、地方の衰退をも懸念していた。

彼は、地方振興策については、地方ごとに実態を調査する必要があるとして具体的な提案を避けつつも、地方の衰退が『国家の元気を損するやうなことになりはせぬか』と深く憂慮している。

都市への人口集中と地方の過疎化により、国全体としてはかえって生産力が落ちる恐れがあるというのである,」(175ページ)

渋沢は明治時代に、安倍内閣も掲げる「地方の発展なくして国の経済成長なし」と同じ事を指摘しているのである。

この本では明治維新以後の渋沢の貨幣論と財政論を評論して、この第1章から第5章までが難解で進まないので、私は第7章と8章の高橋是清論から読んだ。

昭和2年の金融恐慌、昭和5年世界恐慌から高橋是清大蔵大臣が、積極果敢な財政政策と金融政策で世界に先駆けて脱出した話だ。

昭和6年から高橋是清大蔵大臣がとった政策は、金本位制からの離脱と金兌換の停止、金利の引き下げ、日銀券の発行限度の引き上げ、そして日本銀行による国債の直接引き受けと財政支出の拡大である。

これによって1931年(昭和6年)から1936年(昭和11年)にかけて、国民所得が60%増加し1936年には完全雇用の状態を達成したが、消費者物価は18%しか上昇しなかった。

日本はアメリカよりも5年も前に世界恐慌からの回復を果たしたのである。」(同書119ページ)

1931年(昭和6年)9月には満洲事変が始まり、翌年2月に満洲全土の占領で終結したが、この戦争がなければ、日本はまだ飛躍的に経済発展を遂げていたであろう。
また、高橋是清は「『入る計って出るを制する』という均衡財政の考え方は、『国際関係、ことに世界の経済関係、発明のために事業と、運輸交通の事業、その他百般の工業が起こるということのない時代』、すなわち産業資本主義以前の時代の遺物である。政府が積極的に経済を進行し、各国がその経済力において競争するようになると、経済力を強化するのに税収だけでは十分ではなくなる。そして財政赤字を可能にしてでも歳出を増やすことのできる国家こそが勝者となる。時代の変化を踏まえて、均衡財政に代わる新たな積極財政論の必要性を説いている。」(273ページ)

安倍総理は4月28日の衆議院予算委員会の答弁で、この考え方を披露したが、財務省の抵抗にあっているのか未だそれが実現されていない。

一日も早く政策転換される事をお願いします。

 

週末は宿舎で読書三昧

22日(金)は午後、議員会館で2件のレクと面談をこなし、それ以外は日曜日まで、散歩以外は議員宿舎でひたすら読書三昧で過ごした。

読んだ本を紹介します。

中野剛志著「日本経済学新論」

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この本は2週間ほど前に中野剛志先生から贈呈された本だが、難解でなかなか読み進めない。

ただ、現在の消費税増税反対、コロナ対策の大規模な財政出動を要望している私にとっては大切な本なので、別に記します。

また、東郷和彦著「北方領土交渉秘録」(新潮文庫)、を読み終わるタイミングで、外務省から「われらの北方領土2019年版」が届いたので読んだ。

北方領土返還交渉に関しては、木村汎先生の「新版 日露国境交渉史 北方領土返還への道」が有名だが、この外務省の冊子も分かり易くまとめられている。

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硬い本ばかりだと飽きるのて、柔らかい本は金曜日に参議院本館1階の本屋で見つけた。
逢坂剛「果てしなき追跡」(中公文庫上下2巻)、西部劇大好き人間の私にとって至福の時間を与えてくれる本だ。

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幕末の函館戦争で戦死した新選組土方歳三が、生きているが記憶喪失の状態で米国西部へ、米国貨物船で密航して逃亡劇を繰り広げる。

土方歳三が生きている設定は荒唐無稽であるが、作者の逢坂剛氏は史実をよく調べていて、当時のカリフォルニア州からネバダ州、ユタ州アリゾナ州などの様子がよく分かる。

また、この地は何度か訪れて、友人の上林の車で走り回っているので地形までよく分かる。

下の写真は、2013年にユタ州アリゾナ州にまたがるモニュメントバレーで上林と乗馬した。気分はカウボーイでした。

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これに刺激を受けて以前読んでいた「逆襲の地平線」(中公文庫)も読んだ。こちらも、戊辰戦争の生き残りで記憶を無くした武士が、賞金稼ぎ仲間と共に、インディアンにさらわれた白人の少女を助け出す痛快劇で、最後はカスター将軍率いる米国第7騎兵隊二百数十名がインディアン連合軍との戦闘で全滅する場面に遭遇するところで終わる。

米国誕生初期に、先住民であるインディアンを勝手に狭い居留地に押し込み、従わない部族を虐殺していった歴史が書かれている。

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この本は逢坂氏が書いた初めての西部劇「アリゾナ無宿」があまりに面白くて、数年前に続けて読んだのだが、すっかり忘れていて新鮮に読めた。

ボケると良いこともある。

自民党政調会から安倍総理に対し、第二次補正予算に向けての提言

先ほど、自民党政調会から、安倍総理に第2次補正予算に向けた提言書を手渡したとのメールが届きました。

政府がこの提言を予算に実現してくれるよう期待します。以下に概要を掲載します。

提言概要
第1次補正予算の執行に全力をあげつつ、事態の長期化を受け追加的財政措置を講 じ、今後の本格的な需要喚起のための経済対策に繋げていく。
予備費の拡充
新型コロナウイルスの第2波、第3波の可能性が排除できないなか、政策ラグを 克服し、迅速・十分な対応が可能となるよう、大胆かつ強大な有事における予備費 を拡充すること。(P14)
○新型コロナ緊急包括支援交付金の大幅増額と対象拡大等
検査体制の整備、治療薬・ワクチンの開発、医療機関への経営支援、医療資材の 確保等に引き続き万全を期すとともに、事態の長期化に伴う国民の健康被害にも万 全の対応を行うこと。(P3)
ひとり親家庭、学生等への支援、災害対応による生活・学びの継続支援
事態の長期化に伴い生活等の困難に直面するひとり親家庭や学生等への支援を 充実するとともに、段階的な学校再開を見据えた教員加配等を行うこと。また、災 害が増える時期を前にコロナ下の自然災害対応に万全を期すこと。(P4~6)
○家賃補助、雇用調整助成金・持続化給付金拡充、資本性資金導入等による雇用・ 事業継続支援
長期戦が視野に入る中で、人件費・家賃をはじめとする固定経費支援に万全を期 すこと。複数店舗に対する家賃支援についても検討すること。また、流動性支援に 加え財務の健全性支援も含め資金繰り支援を大規模に充実させること。(P6~9)
○With コロナ、Beyond コロナの新たな生活、産業様式の確立
新たな日常に必要な情報通信環境の整備、マイナンバー・マイナンバーカードを 活用した国民の利便性向上、新たなビジネスモデルや産業転換に向けた支援等に取 組むこと。(P11~12)
○地方創生臨時交付金の拡充
新型コロナウイルスへの地方における様々な対応・取組みを全力で支援するとと もに、その配分にあたっては、新型コロナウイルスの影響度や取組状況を踏まえる こと。

2020年版外交青書

先ほど次のようなニュースが流れました。【茂木敏充外相は19日の持ち回り閣議で、2020年版外交青書を報告した。

青書は、ロシアとの交渉が停滞する北方領土について「わが国が主権を有する島々」と明記した。19年版では「北方四島は日本に帰属する」との記述を削除していた。】

 

私は昨年5月9日の参議院外交防衛委員会の質疑において、北方領土交渉において安倍総理が、ロシアのプーチン大統領に配慮しすぎることに関して、以下のように苦言を呈した。

【中西質問】

「先月、2019年版の外交青書が発表されたが、その中で2018年版には「北方四島は日本に帰属するというのが日本の立場である」という記述があったが、それが削除された。その理由について河野外務大臣に聞く。」

【河野外務大臣答弁】

「政府の法的立場に関して申し上げれば、何ら変わったことはございません。その上で申し上げれば、この外交青書というものは当該年度における我が国の外交活動を総合的に勘案をしているわけでございまして、あらゆる活動について、あらゆる内容について記載をしているわけではございません。いずれに致しましても、政府としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するという基本方針の下、引き続き粘り強く取り組んでまいりたいと思います。」

【中西質問】

外務大臣、今までもこの委員会でもそういう趣旨の発言をされましたし、衆参の本会議でも安倍総理も同様な趣旨の答弁を行っております。一方で、安倍総理も菅官房長官も、四島の帰属問題を解決して平和条約交渉を進めると、平和条約を締結するという基本方針に変わりはないということを繰り返し発言されておられます。今回の外交青書の記述変更も、私は一連のロシアとの北方領土返還交渉におけるロシアに対する配慮であろうと思っております。

 

一方で、ロシア国内における、プーチン大統領、ラブロフ外相の発言は日本政府の思惑とは全く違っておりまして、日本に対する強硬な発言が続いております。

日本政府のロシアに対する思いやりが効を奏しているとは思えません、

これまで我が国が「北方四島は日本固有の領土だ」と主張してきたことから後退したと受け止められかねないと危惧するものであります。

私は、北方領土の問題は、主権の侵害に対して日本がどう対応するかの問題だと考えております。

1956年の日ソ共同宣言。これは平和条約締結後に歯舞群島色丹島を日本に引き渡すというものでした。

私は平和条約というのが、戦後処理が最終的に終わったということを意味する以上、平和条約締結後に残り93%の島の継続協議というのは事実上有り得ない話だと考えております。

プーチン大統領も2012年に、日本や欧州のおもだったメディアの代表と会合を行い、そこでは、56年宣言には2島を引き渡した後、主権がどちらの国のものになるかについては書いていない、とか歯舞・色丹、それ以外は一切問題外であるとかそういう発言をしております。 

そして1993年細川首相の時代の東京宣言は、4島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというものでした。ただ、これは、必ずしも4島の返還という意味ではなく、帰属先は一切述べられておりません。

私はこれが日本の対露外交の基本方針だと思っております。東京宣言によって初めて、4島の帰属問題が決定していないということ、つまり北方領土問題とは4島の問題だということをロシア側も認めたことが重要であります。

そして、小渕首相の時代の、1998年の日露間でのモスクワ宣言、この時に国境確定委員会というものを作っております。つまり、国境はまだ決まっていないということをロシア側も認めておりました。

ところが、プーチン大統領は2005年9月、平和条約問題に関連して、「第二次大戦の結果、南クリル(北方4島)はロシア領となった。国際的な諸文書、国際法でも認められている」と初めて語りました。

それまでは4島の帰属問題は決まっていないという事をプーチン自身が認めていたので、これは明らかに歴史の修正だと思います。

昨年2018年11月の首脳会談の合意には、日ソ共同宣言を基礎にして交渉を加速するという形で東京宣言を抜いてしまいました。

それまでは2001年のイルクーツク声明でも、2003年の日露行動計画でも、プーチンがサインしたものには、基本的な合意として平和条約交渉のための東京宣言を掲げていたのに、それを外したという事は、日本政府の譲歩と受け取られたのではないかと危惧します。 

最近ラブロフ外相は、「第二次大戦の結果を認めることが、これからのあらゆる交渉の前提である」という言い方をしきりにしております。第二次大戦の結果、4島がロシア領になったという前提は、ロシアもプーチン大統領自身も以前は認めておりませんでした。4島はいまだ未解決の問題だと認めていたわけですから、その前提そのものが間違っております。

河野外務大臣は、本年2月、ドイツのミュンヘンにおけるロシアのラブロフ外相との会談後の記者会見で、「平和条約交渉は70年かけてやってきている、一朝一夕に解決することはないが、二人三脚でゴールにたどり着けるようにしたい」と発言したと報道されております。(読売新聞2019/2/18)

私は、北方領土返還交渉は、香港の返還交渉のように、長い期間をかけて慎重に交渉を続けることを要望いたします、答弁は求めません。