消費税引き上げ問題

25日(日)の産経新聞の日曜経済講座に、田村秀男編集委員が「消費増税に向け3大詐術弄す、アベノミクス効果を無視する官僚」と題する記事が出ている。
田村編集委員は、現在の記者の中で最も経済に詳しい記者である、との評価を知って以来注目して読んでいる。
詐術、デマとは「消費税10%でも財政再建できない」「増税で税収が増え、デフレにならない」「増税しないと国債が暴落する」という3点に尽きると書き、それぞれ反論している。
一点目について、8日に内閣府がまとめた「中長期の経済財政に関する試算」である。
この文書の中の、「鍵は基点となる13年度の一般会計税収にある。『試算』では43.1兆円と、何と12年度の実績である43.9兆円より減る。現実には景気の好転で、税収は法人税収を中心に大きく伸び続けている。」その通りであろうと思う。
この点を田村編集委員が、「安倍首相周辺の専門家に指摘したところ、「気付かなかった。まさか、そこまでやるとは」とあきれていた。」と書いてある。
官僚はこれまでも、そこまでやったことがあると聞いている。
田村氏によると、「税収は名目経済成長率の2.5ないし3倍くらいの速度で増える、というのが民間シンクタンクの間では常識である。増税しなくてもこのまま名目成長率3%を維持すれば、消費税増税込みの内閣府試算とほぼ同水準の税収が増税なしで実現する。」という。
二つ目のデマに対しては、「吉川洋東大教授などは、97年度増税は15年デフレや税収減とは無関係で、97年秋のアジア通貨危機山一証券など大手金融機関の経営破綻が主因だとしているが、当時の経済データをきちんと検証してほしい。アジア危機や山一破綻の前の97年前半、つまり消費税増税直後から企業在庫が急増し、続いて生産・出荷指数が下落し、翌年からデフレ不況に陥った。」と分析している。
そして、3点目の国債暴落説に関しては、財務省が先日発表した6月末の国の借金残高は、国民一人当たり792万円の借金を背負っているとの言い方に関して、「債権者のはずの国民を債務者にすり替えた。日米比較すれば、それが詐術だとすぐわかる。」「(債務から資産を引いた純債務を目安にすべきだと書いた上で)両国政府の純債務をみると、11年度末で日本は473兆円、GDP比97%、米国は14兆8千億ドルで同95%である。日米の債務水準はほぼ同じで、日本が突出して高いわけではない。」「日本国債の90%以上は日本国民の貯金で賄われているうえに、『異次元緩和』の日銀が買い増しするゆとりが十分ある。米国の場合、国債の3分の1は外国勢に依存しており、投げ売られるリスクは日本よりはるかに高い。米連邦準備制度理事会(FRB)による国債買い入れも限度に来ている。」この見解と同様のことを麻生財務大臣も話しておられた。
最後に「安倍首相はもはやわかっておられるだろうが、官僚の詐術を排したうえで消費税増税実施の是非を最終決定してほしい。」と書いてある。
私も同感だ。