国家崩壊と国民保護

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藤原正彦先生の上記の本を再読した。

最初に読んだのが平成25年12月22日と書いてあるので10年前だ。

この中で、五木寛之氏との対談が印象に残った。

藤原正彦先生は昭和20年8月、2歳の時に母・藤原ていさんに手を引かれて、5歳の兄、生後数ヶ月の妹と共に、満州の首都新京(現在の長春)から1年以上かけて引き上げている。

父親の新田次郎氏は、満州国の気象の官僚であった為に満州へ残り、その後収容所生活を送っている。

同時期に五木寛之氏も12歳の時に、父に連れられて、当時は日本国であった朝鮮の平壌から引き上げている。母上は終戦の1ヶ月前に病気で亡くなったとの事だ。

藤原先生の母ていさんが、戦後引き揚げ時の様子を書いた「流れる星は生きている」はベストセラーになったそうだが、涙なくしては読めない。

藤原先生も五木寛之氏も本当に悲惨な引き揚げ体験をしている。

昭和20年8月15日をもって大日本帝国は崩壊し、満州、朝鮮、中国に住んでいた日本人は悲惨な目にあった。

最近、北アフリカからイタリアへ渡ろうとする、北アフリカや中東諸国からの難民が、地中海で遭難したニュースが頻繁に流れる。

また、ウクライナ戦争におけるウクライナ人の悲惨な様子も連日ニュースで流れている。

ウクライナは国家崩壊はしていないが、イタリアへ渡ろうとする難民の複数の国は、内戦によって崩壊している。

これらの今起きている難民の悲惨な状況、これは78年前に満州、朝鮮、中国に住んでいた日本人が経験した事である。

この本を読んで、改めて国家が崩壊した時に国民がどういう状況になるのか、日本国を二度と崩壊させる事は出来ないと考えさせられた。