中国とロシアの現状

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今朝の産経新聞「田村秀男の経済正解」の記事です。

田村秀男氏は、元日本経済新聞社の記者で現在は産経新聞編集委員です。

私はもう10年以上前から、産経新聞の「日曜経済学講座」で月1回程度記事を書いておられた田村氏の記事に賛同し勉強した。

国会議員になってからは直接お会いして経済財政の教えを受けている。

田村秀男氏の有料配信ウェブマガジンでは、すでに書かれていたが、今朝の新聞記事を要約すると、

「中国の消費者物価は、今年6月にはゼロ%になった。…生産者物価は昨年12月にマイナスになった後、下落が加速し、6月はマイナス5.4%だ。生産者物価は、消費者物価の先行指標だから、このトレンドからすれば今後消費者物価がマイナスに落ち込む公算大である。

 若者の失業率は昨年12月から月を追うごとに上昇し、大学卒業月の6月は21.3%と悪化の一途である。新卒者は1000万人を超え、そのうち3分の1が就職できないという。

 デフレの元凶は不動産バブル崩壊である。中国の国内総生産(GDP)の3割が不動産投資とその関連事業による。住宅を中心とする不動産投資は22年年間が前年比10%のマイナス、今年1〜6月は前年同期比14.3%減とさらに落ち込んだ。」

4日前には不動産大手の恒大集団の決算が2年ぶりに公表され、日本でも大きな反響を呼んだ。

東洋経済オンラインの記事によると、

「中国の不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)で、深刻な経営危機が表面化してから約2年。同社は7月17日夜、開示を延期していた2021年と2022年の通期決算を発表した。それらによれば、2年間の純損失は単純合計で8120億3000万元(約15兆7021億円)に上り、恒大集団の傷の深さが改めて浮き彫りになった。」

「今回開示された決算報告書によれば、恒大集団の取引先に対する未払い金は2020年末時点の8291億7000万元(約16兆335億円)から、2022年末には1兆元(約19兆3368億円)に増加。そのうち建設資材の未払い金は、2022年末時点で5961億6000万元(約11兆5278億円)に上っている。」との事であり、実質的には破産しているという報道が裏付けられた。

また、これは公式発表で、実際にはもっと悪いのではないかと推測される。

また、「土地の所有権は『人民の代表』地方政府が握っている。地方政府を支配するのは党中央が派遣する党官僚である。地方政府の党書記は、土地の利用権を不動産デベロッパーに販売する。土地利用権売却による地方政府の財政収入は全体の 70〜80%を占める。地方政府はこの信用力を背景に不動産開発融資ビジネス『融資台』も傘下に置いて経営している。

 こうした土地関連収入をもとに、地方政府は財政出動し、地域振興を進めてきた。不動産相場がバブルと化し崩壊してしまうと全てが暗転する。22年は中国全土の土地取引が前年比で半減した。地方が財政出動したくても財源は無い。」

これを裏付けるような状況を数日前にNHKBS放送で見た。

北京の近くの天津市で、アメリカのニューヨークにあるマンハッタンに匹敵する高層ビル街を造れという構想の元に高層ビルを造り始めたが、資金不足で何十棟という高層ビルが工事中止となりゴーストタウンと化している現状であった。

10年ほど前であったか、天津市を訪れた際には、戦前のいい雰囲気のビルを片っ端から壊して建て替えており、何ともったいないことをするのだろう、と思ったが、今回のゴーストタウンはその比ではない。

 今年の6月18日に上京して田村秀男氏にお会いして話を聞いた事は、すでにブログで書いた。

その時に田村秀男が話していたのは、メキシコ国境からアメリカへ不法入国しようとしている中国人が非常増えている事であった。

数日前のNHKのウェブニュースで流れたのは

「今年に入って5月までにメキシコとの国境付近で摘発された中国人は1万人超。去年の同じ時期の17倍に上っています。」という報道だ。

別の報道によると、これらの中国人は、ヨーロッパ経由でビザの不要なグアテマラだかエルサルバドルだかに入国し、そこから陸路でメキシコに入り、アメリカ国境を目指すが、その間に賄賂を取られたり、強盗被害にもあっているそうだ。

母国を捨てる中国人が急速に増えている。

ロシアにおいてはもっと激しく、昨日の毎日新聞ウェブニュースでは、

「フランスのシンクタンク「国際関係研究所」(IFRI)が、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、ロシアから国外に移住した人の数が100万人に上るとの報告書を発表した。1917年のロシア革命後に起きた人口流出に匹敵する規模だと指摘。教育水準が高い中間層が多いといい、欧州各国は移住者を受け入れ、経済成長に生かすべきだと提言している。」

中国もロシアも国内状況が悪化しているのが顕著である。

両国とも、海を隔てて我が国の隣国である。

中国、ロシアに政変が起きた時に日本がどう対応するのか、政府は対応策を準備すべきだと思う。