プーチン(ロシア)の常識

今朝のYahooニュースで、「ロシアのプーチン大統領ウクライナに対し、和平交渉開始の条件として、ロシアが一方的に併合を発表し現時点で部分的に占領しているウクライナ東部4州からの軍撤退を要求した。」との報道があった。

別に驚きもしない。

暴力によって侵略した領土は、ロシアの領土だというのが、プーチンに限らず、帝政ロシアから続くロシア人の考え方だ。

先日から 相良俊輔氏の書いた「赤い夕陽の満州野が原に 鬼才河本大作の生涯」という本を、何回目か、読み返している。初めて読んだのが昭和53年(1978年)、46年前だ。

その中に、相良俊輔氏の調べたロシアの歴史が書かれている。

少し長いが引用させていただきます。

【ピュートル大帝(1672年〜1725年)の抱いた世界制覇の夢と野望ーーその伝統的な膨張政策は、帝政ロシアから共産主義国ソビエト・ロシアへと、みごとなまでに継承されていたのである。

それは、何人といえども否定し得ない歴史的な事実であり、そのことは、第二次大戦後の世界の勢力分布図を見れば、一目瞭然であろう。

 試みに世界地図を広げてみるがいい。ソビエト・ロシアが、第二次世界大戦の混乱をたくみに利用し、どさくさ紛れの火事場泥棒式に手に入れた領土は、なんと日本本土の2倍半にも達する。

 人口にしてざっと二千六百万人を傘下におさめ、さらにその衛星国を合わせると1億2千万という大膨張をとげているのである。

 ヨーロッパにおいては、エストニアラトビアリトアニアバルト三国を併合。フィンランドからはカレリア地方を奪い、ポーランドの三分の一をせしめ、ドイツから東プロイセンチェコからはルテニア地方を。さらにルーマニアから、ベサラビアとブコビナ地方を併呑している。

 また、アジアにおいては、タンヌーツバ共和国、日本からは、樺太と千島列島といったぐあい。しかもこれすべて、強大な軍事力にものをいわせての略奪であり、神聖であるべき条約を、弊履のごとく破棄し、なりふりかまわずにかき集めた成果であった。

 ロシア史を顧みて、真の防衛戦争といえるのは、ナポレオンの遠征軍を迎え撃った戦いと、ヒトラーナチス・ドイツ軍との戦いのみで、あとはことごとく不条理極まる侵略戦争だったのである。

 スラブ民族は善良でお人好しというが、一皮むけばその本質は好戦的で執念深く、どこにでもくちばしを挟むおせっかいやきである。

 ヨーロッパ人はそういうロシア人の特性をよく知っており、警戒心を怠らない。が、日本人は彼らについては全く無智であり、無関心でありすぎる。】

プーチンの思考もピュートル大帝と何ら変わっていない。

もっとも、ヨーロッパの歴史は、領土を武力によって取り合う歴史が続いている。

だからNATO北大西洋条約を造った。

英国のチャーチルの著書「第二次世界大戦」に書かれているが、第一義はソ連から自由主義国を守る事であったが、相互の不可侵の意味がある。

北方領土について、1991年のソ連崩壊後は経済援助と引き換えに日本に返還する機会があったのかも知れない。

当時の安倍晋三総理はその延長線上で、2島返還が出来ると思ったのであろう、プーチンと何度も交渉を続けた。

しかし、私は北方領土に関する戦後の歴史を詳しく調べ、プーチン大統領とラブロフ外相の言動を調べ、2島返還でも無理であろうと考えた。

そして令和元年(2019年)5月9日に参議院外交防衛委員会で、自分の考えを、当時の河野太郎外務大臣にぶつけた。

河野太郎外務大臣は、これまでの答弁から踏み出すことが出来ないであろうと考えたので、あえて答弁は求めなかった。