全国都道府県議会議長会が菅総理に対し退陣要求を決議

27日(水)午後1時30分から東京の都道府県会館で開会された全国都道府県議会議長会定例総会において、「菅内閣総理大臣の退陣を求める緊急決議(案)」が、岩手県宮城県福島県東日本大震災被災県から提案され、可決された。
地方6団体といわれるのが全国知事会全国市長会全国町村会長会、全国都道府県議会議長会全国市議会議長会全国町村議会議長会である。
いつも注目されるのは全国知事会であり、全国都道府県議会議長会(以下は全議と略す)が注目されたことはあまりなかった。
ましてや、政局に繋がる案件を全議で議決したことは過去にはなかったであろう。
そのことを意識してか、「今回のような(政局につながる案件の)議決は官僚出身者の多い知事会では議決できないであろう、都道府県議長会がやるべきだ。」との意見があり、賛同の声があった。
この決議案は3県の議長の連名で、7月22日(金)の午後5時半過ぎに全国の都道府県議会事務局にファックスで送信されたそうだ。
私が議会事務局から説明を受けたのは25日(月)の午後1時から行われた議長に対する全議のレクが初めてであった。
こういう案件は通常は各会派(本県は6会派)に意見を求めたうえで、議長が判断する。
私は、翌日の「離島振興対策都道府県議会議長会」並びに「地すべりがけ崩れ対策都道府県議会議長会」の二つの議長会出席のために、この日午後4時の飛行機で上京する予定になっており、各会派の統一見解を求める時間はなかった。
そのため、本日(27日)午前10時から開会された19道府県で構成される全議役員会でも、高知県議会議長としては賛否を表明できないとの立場をとることを決めていた。
全議の役員会で、私は個人的には、13日から15日まで現地を視察して復旧が進んでいないこと、その原因が菅内閣にあることを認識しており、退陣要求決議には賛成したい、しかし、他会派の意見を聞く時間がなかったために、議長としてはこの席で賛成を表明することができないことを述べた。
他にも3県の議長が他会派との調整ができていないことを述べ、それでも賛成すると言った議長が二人、態度表明が出来ないと言った議長が一人いたが、埼玉県、徳島県新潟県岡山県和歌山県のように、すでに議会で「菅総理の退陣を求める意見書」を議決している議会があり、概ね賛成であり、役員会としてはこの議案を午後の総会に提出することについては了承した。
しかし、午後の定例総会はもめた。
宮城県の畠山議長は提案説明の中で、この議案が全議の案件としてはふさわしくない出すぎたものであること、それを承知の上で提出することを決めた被災三県の気持ちを汲んでほしいことなどを縷々述べた。
また、福島県の佐藤議長は、震災後1週間の後から今日まで、何度も政府に対して要望を繰り返してきたがなんら事態が改善されない、かくなるうえは退陣要求決議という非常手段を使うしかないと3県で確認しあった心情を汲み取ってほしいと述べた。
他の都道府県議長から、菅総理に対する退陣要求について概ね賛成であるが、手続きの問題があるとの意見があった。また、採決をするなら退場せざるをえないとの意見も複数あった。
そこで、三重県の山本議長はいったん休憩を宣言して再度役員会を開催した。
役員会では、異例ではあるが採決を行うべきだとの意見も相次いだ、しかし、通常はブロックごとに意見を集約して決定するので、ブロックごとに意見をまとめることを山本議長が提案して了承された。
四国ブロックは賛成の方向で決まった。
最終的に各ブロックの意見を聞いたが賛成が多いということで、退陣要求決議が可決された。
東北の被災地である岩手県の佐々木一榮議長、宮城県の畠山和純議長、福島県の佐藤憲保議長の熱意が各議長に伝わったものである。
この決議の影響で、明日(28日)12時から官邸で行われる予定であった菅内閣総理大臣と全議議長との懇談会は、議長会からお断りした。
全議の歴史に残る議決であるが、7時のNHKニュースでは報道していないようである。
全議の決議などは、マスコミにとってこの程度の認識なのであろう。
また、私をはじめ多くの議長さん方もこの決議を受けて菅首相が辞職するとも思ってはいない。

この会が3時に終わる予定が4時15分まで延びたために、この後予定されていた高知県議会が提案した「東海・東南海・南海地震による超広域災害への備えを強力に進める9県議会議長会議」は設立総会のみ開催して、民主党内閣府への要望活動は延期せざるを得なかった。