高知県防衛協会総会

13日(金)午後4時10分から高知商工会館で高知県防衛協会の定期総会があり、私は宿毛支部の会員であるがこの度は高知県議会防衛議員連盟会長として来賓挨拶をさせて頂いた。

防衛協会自衛隊の応援団として防衛思想の普及が大きな活動項目となっているので、挨拶の中で集団的自衛権について以下の簡単な話をさせて頂いた。
憲法第9条第2項には「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」と書かれている。
これはどう読んでも非武装を規定している。それでは国の独立はどう守るのか、国連が守るのだというのが憲法制定当時の考え方であった。しかし、第二次世界大戦後東西冷戦が始まり国連が機能しなくなった。そこで日本は日米安保条約を締結して米国に守ってもらうことに決めた。
砂川事件最高裁判決において、憲法第9条第2項の解釈は上記の通り非武装だ、しかし、憲法前文には国民の生存権が規定してある。
この生存権憲法解釈の重きをおいて、現憲法自衛権を認め、かつ自衛の処置も取ることができると判断した。これが砂川事件最高裁判決です。
昨年、9月10日、米国のオバマ大統領は、シリア侵攻の判断を議会に任せ、そしてシリア侵攻はしないという演説の中で「米国は世界の警察官ではない」と言った。この演説を判断した上で中国は東シナ海防空識別圏を設定した、南シナ海ベトナムなどと衝突していることはご承知の通りである、スキを見せればすぐに突いてくるのが中国だ。
戦後、我が国の防衛については米軍が槍を、自衛隊が盾の役目を果たしてきた(個別的自衛権でよかった)、しかし、戦後70年近くなって、(米国の事情も変わった)せめて我が国の周辺で我が国の存立を脅かす事態が起きれば、少しは槍の役目も果たせやというのが米国の本音であろう。
集団的自衛権も本来なら憲法を改正して国防軍の設置と自衛権を明記してからにすべきであろうが、それでは遅すぎるというのが安倍総理の判断であろう、我々としてはこれが国民の理解を得られるよう努力していく。」
総会終了後の講演会は、須崎市出身の吉岡秀之元空将、吉岡氏は空自の少年自衛隊学校から防衛大学校に進み航空自衛隊に勤務したがパイロットではない、昨年退職され、現在はジブラルタ生命保険(株)の顧問だ。

吉岡氏の話は元自衛官として、現在の法整備の下では自衛隊の行動はがんじがらめに縛られて自由な行動のできない惨めさ、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進しても、攻撃を受けてからでなければ反撃できず、しかも、例えば1番機が攻撃を受けて墜落した後、2番機が反撃して敵機を撃墜しても基地に帰れば過剰防衛で逮捕される恐れがあること、それらを中国、ロシア、北朝鮮は熟知して自衛隊に対処している事。
また、中国は東シナ海防空識別圏を設定したが、領空と防空識別圏との区別が分かっておらず、おそらく領空と思っているのではないかとの話もあった。
私が普段訴えていることを話されたが、元空将のお話であるので私の話とは説得力が違う。
そして、我が国を取り巻く各国の軍事力の説明の中で、韓国が射程距離500キロの巡航ミサイルを配備中であるが、このミサイルの射程には関西地方以西が入る、これは日本に向けられているのではないかとの話もされた。
この心配は吉岡氏だけの心配ではなく、私は軍事専門誌でも読んだことがある。
また、航空産業の育成についても話された。
F-2戦闘機の開発には約1200社の会社が関わったが、次の自衛隊戦闘機の開発計画がないため多くの会社が撤退している。
次期戦闘機であるF-35は米国を中心として多くの国が開発に関わっているが、日本は政治判断で当初計画に関わらなかった。
その後42機購入すると表明した前後に、三菱重工IHI三菱電機が下請け、孫請けとして参加しているが利益が出るかどうか分からない状況である。
F-35戦闘機の航空自衛隊配備後の整備は全て米国が行う、私はこのF-35の配備が米国の戦略に取り込まれている気がしてならない。
戦闘機の開発には数十年かかる、仮にF-3戦闘機と呼ぶが、ぜひ国産で米国の協力を得ながら次期戦闘機の開発を行ってもらいたい。
そのスライド写真には、自衛隊の技術研究本部がステルス実証機として開発中の「心神 」が中心に据えられており、14年度中に飛行実験をすると話された。
吉岡氏のように自衛隊OBで、こんなにハッキリと我が国の防衛力の欠格を話される方が増えてくるのは歓迎すべきことであるが、日本国民が防衛に関心を持たないのが情けない。


written by iHatenaSync