岸田総理の所信表明演説

参議院では、6日午後3時から本会議が開かれ、第207回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説、鈴木財務大臣の財政演説が行われました。

その内容は、今日のテレビ報道や明日の新聞で詳しく報道されるでしょうから、詳細はそちらをご覧下さい。

その中で私が注目したのは以下の3点です。

1点目は岸田総理の主張される「新しい資本主義」の具体像です。

岸田総理は「我々には、協働・絆を重んじる伝統や文化、三方良しの精神などを、古来より育んできた歴史があります。だからこそ、人がしっかりと評価され、報われる、人に温かい資本主義を作れるのです。」と述べられました。

「三方良しの精神」とは原丈人(じょうじ)氏の主張される公益資本主義です。

原丈人氏の「公益資本主義」(文春新書)によれば、

日本の相次ぐ大手製造業各社の不祥事の原因について、日本の製造業は真面目に物作りに取り組み、世界的な評価を得ている。それが怪しくなってきた。

製造業各社の不祥事の原因が経費節減によって製造現場にしわ寄せがきており、その元は、株主最優先の米国型企業経営にあると分析しています。

日本には古来から、自分が儲け、相手も儲け、さらに社会に貢献するという経営理念があった。

それが、ここ数十年の、株主が儲かることを最優先とする米国型企業経営理念がはびこった為に不祥事が頻繁する原因となっている。

極端にいえば会社を売却しても、売却益で株主が儲かればそれで良しとする。社会への貢献など全く考えていない。

数年前、米国で不良住宅ローンを交えて複雑な証券システムを構築し、それが住宅バブル崩壊によって一挙に崩壊したサブプライム住宅ローン危機によって方向転換したのかと思っていたら、そうではなかった。

そこで、古来からある日本型経営理念をもう一度見直そうと提唱しています。

私は4年前に、当時参議院議員であった二之湯武史さんの予算委員会での質問で原氏の存在を知り、二之湯議員から一緒に勉強会を立ち上げましょうと誘われました。その勉強会は岸田総理に会長になっていただく予定でしたが実現しませんでした。

しかし、公益資本主義については岸田総理も良くご存知である事を知ってましたので、10月の衆議院選挙の時から、岸田総理の主張する新しい資本主義とは公益資本主義である、と街頭で訴えてきました。

本日の所信表明演説で具体的になりました。

なお、西田昌司参議院議員の最近のYouTubeによると、米国在住の原丈人氏は最近帰国され、西田議員の紹介で高市早苗政調会長と面談され、高市政調会長も原氏の考え方に賛同されたそうです。

詳しくは原丈人氏の「公益資本主義」(文春新書)を是非読んで下さい。

2点めはマイナンバーカードの機能充実です。

すでに報道されている事ですが、

マイナンバーカードと、健康保険証、運転免許証との一体化、希望者の公金受取口座の登録を進めるとともに、本人確認機能をスマートフォンに搭載することで、利便性を向上させます。

さらに、12月20日から、マイナンバーカードを使い、スマートフォンによって、国内外で利用できるワクチン接種証明書を入手できるようにします。」と述べられました。

マイナンバーカードが出来て以来数年経ちましたが、あまり使う場のなかったマイナンバーカードが、遅まきながらやっと使えるカードとなります。

3点目は安全保障についてです。

「わが国を取り巻く安全保障環境は、これまで以上に急速に厳しさを増しています。経済安全保障や、宇宙、サイバーといった新しい領域、ミサイル技術の著しい向上、さらには、島嶼防衛。こうした課題に対し、国民の命と暮らしを守るため、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、スピード感を持って防衛力を抜本的に強化していきます。このために、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を、概ね1年をかけて、策定します。」

防衛計画大綱、中期防衛力整備計画の改定については、自民党の政調部会でも、国防部会、安全保障調査会で検討して政府に提言しますが、

私は両方の役員となっておりますので、役員会で積極的に提言しております。

なお、なお補正予算の総額は約36兆円を計上しております。

事業費規模では約55兆7千億円となります。