「新太平記」読後感

山岡荘八著「新太平記」文書版全5巻を読んだ。
時代は1320年代、後醍醐天皇鎌倉幕府を倒そうとして失敗し、隠岐の島に流されてから足利尊氏が天下を取るまでの南北朝の戦いを描いたものである。
織田信長は私の好きな人物であり「信長公記」をはじめ何冊かの本を読んだ、徳川家康豊臣秀吉もそれぞれ長編歴史小説を読んだ。
ところが、太平記の時代は中学校や高校の日本史で習った以上の勉強をしていなかった。
今回「新太平記」を読んで楠木正成がいかに戦上手で戦闘に長けていたかがよく分かったし、息子正行との楠木親子が昭和初年?から日本人に尊敬され、一方で足利尊氏が嫌われた理由がよく分かった。
私の妻の母は栃木県足利市の出身で、足利尊氏が逆賊と言われるのが子供の頃から嫌だったと、生前よく言っていた。足利尊氏はそれほど悪い人物ではないとも言っていた。
確かに、「新太平記」を読んでもそれほど悪者には描かれていない。
むしろ弟の足利直義が悪人に描かれており、尊氏は天下を取った後に弟の直義を殺すことになる。
これまで名前ぐらいしか記憶になかった名和長年北畠親房の行動もよく分かり、最後は新田義貞が戦死して終わる。
天皇の下で軍を起こすと官軍、それができなければ賊軍となる。明治維新でそれが再現されたわけである。
混乱状態が長く続き迷惑をこうむるのが民である。
現在の政治状況もこれに近い状況が生まれつつある。
今回は世界同時不況が関係しているので余計に解決策が難しい。