J-POWER(電源開発(株))の磯子石炭火力発電所を視察

8日午後、横浜市磯子区にある、J-POWER(電源開発(株))の石炭火力発電所を視察して来ました。

かねてより、J-POWERの石炭火力発電は素晴らしい技術を持っていると聞いており、一度視察に行きたいと思ってました。外務省を通じてそれが実現しましたので、概要をお知らせします。

現地では、J-POWERの菅野等・取締役常務執行役員、松本博昭・磯子火力運営事業所所長さんに対応していただきました。

f:id:nakanishi-satoshi:20210709125142j:image

(写真左が菅野取締役、右が松本所長)

f:id:nakanishi-satoshi:20210709125621j:image

J-POWER(電源開発(株))から頂いた、パンフレットと資料によりますと、

磯子火力発電所(1号機、2号機)の電気供給量は、年間約80億kWh、横浜市川崎市の全世帯分(260万世帯分)に相当する。

・新1号機は2002年(H14年)4月運転開始、新2号機は2009年(H21)年7月運転開始。石炭をそのまま燃やすのではなく、パウダーのような微粉にして燃やす「微粉炭発電(USC)」なので効率が良い。

今後は、石炭をガス化し、それを燃焼して発電するガスタービンと排熱を利用して蒸気で発電する蒸気タービンを組み合わせた「石炭ガス化複合発電(IGCC)」、さらに、それに加えて燃料電池を組み合わせた「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」の実現を目指している。

f:id:nakanishi-satoshi:20210709125617j:image

(上の写真は発電所全景の模型です、中央の薄緑色とその右の青い建物がボイラー棟、手前が発電タービン棟です。)

・石炭はオーストラリアとインドネシアから輸入している。

・電力の発電効率とは、燃焼したエネルギーの何%を電力として使用できたかを示す割合ですが、磯子発電所発電効率は最新の高効率設備であるUSC技術を採用し、最高効率45%を実現している。これは世界一で、CO2の主要排出国である米国、中国、インドの発電効率を上回り、2位のドイツの発電効率は39%台です。

f:id:nakanishi-satoshi:20210709125613j:image
(資料室を視察中)

・発電コストはザクッと言って、ガスが13円/kwh程度、石炭は8円/kwh程度かかるが、石炭火力のコストはこれに排気処理の新システムを使うと、少し上がるし、今後は研究開発中のCO2の処理費用も数円程度上乗せされる。

磯子の排ガスクリーンシステムは、

1、脱硝装置(窒素酸化物とアンモニアを無害化する。脱硝効率90%以上)、

2、電気集じん機(脱塵効率99%以上、捕集した灰じんは有効利用)、

3、脱硫装置(排ガス中の硫黄酸化物を活性炭に吸着させる、世界最大規模の乾式脱硫装置を採用し脱硫効率は97%以上)

素晴らしい技術です。

現在、CO2の回収・貯留装置を研究開発中です。また、J-POWERが取り組む酸素を用いた石炭ガス化技術(酸素吹IGCC)は効率的なCO2の分離・回収が可能という特徴があり、火力発電のCO2を経済的にゼロエミッション化できる可能性があります。とのことです。

・J-POWERは、国内だけでなく海外でも、世界各地で電源の開発及び送変電設備等に関するコンサルティング事業、そして海外発電事業に取り組んでおります。

残念ながら、最近になって、世界的なCO2削減政策の流れの中で石炭火力発電の技術は海外へ輸出出来なくなりましたが、国内では、CO2削減に取り組んだ上で広めていってほしいと思いました。