西田昌司議員が追求、日本の借金残高は対GDP比256%は本当?

財務省が盛んに宣伝している「日本の借金は諸外国と比べると、対GDP比256.2%、世界最悪の状況」の根拠が崩れた。

財務省のホームページを見ると、「日本の財政を考える」というページに、「日本の財政の状況」というページがあり、さらに「日本の借金を諸外国と比べると」というページの中にこの256.2%という数字を書いたグラフがある。

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そのグラフには、注1として、数値は一般政府(中央政府、地方政府、社会保障基金を合わせたもの)ベース。

と小さく書いてあるが、この対GDP比256.2%という数字は、いろいろな所で引用されて広まっている。

4月11日の参議院決算委員会において、西田昌司参議院議員は、政府の国債発行残高1千兆円のうち、日銀引き受けの約500兆円(4月10日発表で526兆円)は、期限が来たら借換債で対応しているのだから対GDP比で計算する時には外すべきではないかと財務省に質した。

西田議員は

「日銀引き受けの500兆円については、期限が来れば借換債で行っているので政府には国債の利払いの負担だけが残る。

この利払いも、日銀が政府から受け取る利息のうち約半分は国庫に納付しているのではないか。」と質問した。

これに対して日銀の清水局長は、

[日銀・清水企画局長]

日本銀行保有する国債に対して支払われる利息は日本銀行の収入の一部となります。日本銀行では、この利息収入等から日銀当座預金に対する付利金利の支払いやその他の費用等を差し引いて当期剰余金を計算し、さらにそこから法定準備金として積み立てている金額等を除いた残りの額を国庫に納付します。・・・

(国庫から日銀保有国債に係るその利払いと、国庫に対する納付の金額との関係について)

例えば平成28年の場合は、国債の利息収入、日銀が受け取る国債の利息収入は1.2兆円、これに対して国庫納付金額は0.5兆円。平成30年度においては、利息収入が1.3兆円、国庫納付金額は0.6兆円、また、直近の令和2年度では利息収入は1.1兆円、国庫納付金額は1.15兆円となっております。」

[西田議員]

「鈴木財務大臣、日銀が持っている国債については事実上、財政のいわゆる借金で返さなきゃならないと、そういうような問題じゃないわけなんですよね。ですから、今やるべきは、まずは借金の問題じゃなくて、まず日銀の分を除いて考えるという考え方もあるんではないですか。」

[鈴木俊一財務大臣]

「先程来、西田先生とそれから日銀、財務省のやりとりを聞かせていただいております。私もちょっと考え方が常に保守的なものですから、今まで教わってきたことに、にわかに頭を切り替えるということが出来ないわけでありますけれども、先生のおっしゃっていることを一つ一つ追いかけていくと、おっしゃっている事はその通りだなという気がいたします。」

この鈴木大臣の答弁は、当たり前の事ですが、今まで財務省が認めてこなかったことで、画期的な答弁でした。

日銀引き受けの国債526兆円を、対GDP比の計算から外すと、政府の国債発行残高の対GDPは100%以下になり、諸外国と比べても健全です。

この参議院決算委員会の質疑は、西田議員がユーチューブで公開しており、反響を呼んでいます。

私も数人から、この動画の質問を受けましたので、遅まきながら、紹介した次第です。