「ウルカヌスの群像」を読んだ

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この本は、どなたかが安倍晋三元総理に読む事を薦めたという事を読んで、インターネットで捜したが品切れ、高知市の図書館で見つけて読んだ。

レーガン政権からジョージ・W・ブッシュ政権まで、米国の指導者達が何を考え、どう行動したかが分かる本です。

ウルカヌスとは【「ジョージ・W・ブッシュは、私はこれまでで最高の外交政策のチームに恵まれている」と言った。彼が指していたのは副大統領候補のディック・チェイニーコリン・パウエルコンドリーザ・ライス、ポール・ウルフォウィッツ、リチャード・アーミテージといった連続性と安定性を象徴する人たちのことである。

ブッシュの選挙戦中に、このグループは自分たち自身のニックネームとして、ローマ神話の火と鍛治の神「ウルカヌス」を使うようになった。】

と書いてある。

とりわけ興味深かったのは次の記述です。

【チェイニーとラムズフェルドレーガン政権の最高機密計画の一つで中心的役割を果たしていた。ソ連との核戦争を想定し、戦中、戦後にアメリ憲法の規定の範囲内ギリギリのところ、さらにその枠を超えたところで新たなアメリカの「大統領」とそのスタッフを誕生させ、連邦政府が機能し続けられるようにする詳細な机上訓練を秘密裏に実施していたのである。レーガン時代に行われていたこうした訓練の詳細については、年月の経過とともに少しずつ明らかになってきたが、その実施状況やチェイニーとラムズフェルトが果たした中心的役割が明らかにされることはなかった。】

米国の大統領、副大統領が同時に核攻撃で死亡した場合には、3つのチームが米国内のそれぞれの場所で政権を続行して、核戦争を闘うというシナリオがあった。

つまり、レーガン政権の時代に、ソ連との核戦争を想定して対処していたのである。

日本人の多くは核戦争が起きる可能性は限りなくゼロに近いと思っているだろうが、米国もソ連も核戦争が起きる事を想定して対処していたのである。

中国は毛沢東の時代に核戦争で数千万人の中国人が死んでも、戦争に勝ち抜くと宣言して、核攻撃からの避難施設を構築していた。

今回のウクライナ戦争で、プーチン大統領は、核戦争も辞さないとの趣旨の発言をしたが、おそらくハッタリではなく、米国との核戦争勃発を想定して対処しているのであろう。

日本はどうするか、真剣に考えるべきである。